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■ある女子高校生の話。

 携帯電話の留守電に嫌がらせのメッセージが残されていた。メール・電話による嫌がらせが続き、女子生徒は怖くなり学校に相談をし、さらに警察にも相談に行き担当者はしっかりと相手の名前を記録に残し、「今後怖い目にあったら直ぐに警察が動いてくれる」ことになっているという。また女子生徒は携帯の番号も変更しもちろんアドレスも変えた。 それで終わるはずだった、しかし女子生徒は様々な不安と恐怖と自己嫌悪に落ち入り不登校になった。夏休み中は全く自宅を出なかったという。 カウンセリングも受け、医師からの投薬も受けた。 女子生徒は激痩せをして拒食症の一歩手前まで行った。 そんな彼女は年が変るにつれ自分を取り戻しつつある。医師のアドバイスは今でも受けてはいるが彼女は自分自身をしっかりと見つめ直し生きようとしている。
 
 最近、ネット社会がもたらす事件が取りざたされている。時には命が奪われることもある。多くの人にとっては関わりのないことだが、誰でもが被害者にも加害者にもなりうる可能性があるのが現代だ。 この女子高校生の場合も加害者側は彼女の心の被害に
気を配ることは恐らくないであろう。しかし、自分の家族や兄弟や、これから生まれてくるであろうわが子に被害が訪れたとき初めてことの重大さに気付くことだろう。「因果応報という言葉がある。いつか同じ様な経験をすることがあるだろう」とこの女子高校生の知人は言っていた。 また、この女子生徒が立ち直り学校に登校出来るまでには高校側の校長・副校長・教頭を始めとする管理職や生徒指導部や担任の心温まるフォローがあった。 さらに家族は仕事を休んでまでも彼女に寄り添っていた。24時間家族の誰かしらが彼女を見張っていたという。それ程迄に彼女が危険な時期があったという。 その彼女が今になりようやく自分を支えてくれた周りの人に感謝の言葉を口にする様になった。彼女の場合は本当に周囲に理解者がたくさんいてくれた。友人や両親の知人も真剣になって彼女を支えてくれた。 

 彼女の心の傷は絶対に消えることはないだろう。しかし、彼女は今回の事件を通じて多くのことを学び、多くの経験をして、たくさんの大切な人が出来た。自分が一人で生きているわけで無いと言うことを身を持って感じ取ったという。 そんな彼女を見て一回り大きくなった感じがしたのは私だけでは無いであろう。

 これからも、この女子生徒の力に少しでも良いからなりたいと思っている。